19+12人姉妹が語らう日本陸海軍 第5回
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今回の司会進行を務めることになった、鈴凛です。 |
アシスタントの春歌ですわ。 |
六女の氷柱よ。 |
次女の霙だ。 |
ゲストのファインと・・・・ |
レインです。よろしくお願いしますっ! |
さて、じゃあ、何の話をするか決めないとね。 |
ねえ、鈴凛。 |
ん、何? |
今までの話で、しきりに 「小型巡洋艦」 とか、「大型巡洋艦」 って言葉が出てきてたわよね。 |
うん。出てきたね。 |
それって、「軽巡洋艦」 や、「重巡洋艦」 と何か違うの? 巡洋艦を小型や大型っていう基準で分けるのは、あんまりなじみがないんだけど。 |
確かに、一般的には軽巡洋艦と重巡洋艦という分類が多いね。 |
そうだね。咲耶ちゃんや麗ちゃんがその言葉を使わなかったのは、たぶん、誤解を避けるためじゃないかな? |
第24章 条約型巡洋艦
じゃあまず、軽巡洋艦や重巡洋艦という分類がなされる少し前の時代から入っていこうか。氷柱ちゃん、条約型巡洋艦って知ってる? |
条約型? 聞いたことないわね。 |
ワシントン軍縮条約で定義された巡洋艦のうち、最大の戦闘力を持たせたものですね。 |
どういうこと? |
毎度のようで悪いけど、またワシントン軍縮条約の話をするよ。 |
要するに、戦艦に準ずるくらいの中型の軍艦ってことね。 |
この時代の巡洋艦っていうと、商船改造の特設巡洋艦、ごく軽い防御がなされた防護巡洋艦、それなりの装甲を持った装甲巡洋艦なんかがあったころね。 どのように私は平和の正義になることができます |
前ド級タイプの、様々な口径の砲を積んでいる巡洋艦から、同口径の主砲に砲を統一した巡洋艦が出始めていたころだね。おひさまの国では、「天龍」 なんかがその嚆矢だよね。 |
巡洋艦 「天龍」。日本初の近代型巡洋艦として、太平洋戦争でも実戦をこなした。
そして、戦艦の建造が実質的に停止された1920年代においては、この巡洋艦が戦艦に次ぐ戦力をもった存在として、クローズアップされたわけだな。 |
ワシントン軍縮条約締結直後は、戦艦は作れないし、空母はまだ 「鳳翔」 1隻しか存在しなかったわよね。そんな時代じゃ、巡洋艦に頼りたいって気持ちもわかるわ。 |
1920年代の空母は、偵察には便利でも攻撃力は全く有していない存在でしたね。それに、特型駆逐艦という新鋭駆逐艦が出るまでは、駆逐艦という兵器もあくまで補助戦力でしたからね。そうなれば、どうしても巡洋艦が重要になってくるでしょう。 |
そう。その状況において、条約の制限一杯の巡洋艦、つまり排水量1万トンで、20cm砲を装備した巡洋艦を、日米英の三国は建造したの。それが条約型巡洋艦。 |
英条約型巡洋艦 「エクゼター」、米条約型巡洋艦 「オーガスタ」、日条約型巡洋艦 「妙高」 。艦容に各国の特色がよく現れており興味深い。
ファインちゃん。各国の条約型巡洋艦の数をまとめてくれる? |
は〜い。 |
条約型巡洋艦 | |
---|---|
大英帝国 | 13隻 |
アメリカ合衆国 | 18隻 |
大日本帝国 | 8隻 |
レインちゃん、代表的な条約型の武装や装甲をまとめて。 |
は〜い。 |
主砲 | 魚雷発射管 | 最大速度 | 最大装甲 | 航続距離 | |
---|---|---|---|---|---|
ノーフォーク級巡洋艦 (英) | 20cm砲 × 8門 | なし | 31.5ノット | 140ミリ | 12ノット/12500海里 |
ポートランド級巡洋艦 (米) | 20cm砲 × 9門 | なし | 32.7ノット | 127ミリ | 13ノット/13000海里 |
高雄型巡洋艦 (日) | 20cm砲 × 10門 | 16門 | 35.5ノット | 100ミリ | 14ノット/7000海里 |
・・・・何と言いますか、どうして日本の軍艦はいつもこうなのでしょう? |
装甲と航続距離、そして数字には現れない居住性を犠牲にして、常識はずれの重武装を施す。同じ排水量の制限がかかった軍艦を比較すると、なんとも露骨ね。 |
ぱっと見ただけだと、おひさまの国の巡洋艦が強そうだけど、でも数でいうならアメリカに負けてるよね。アメリカだけでも倍以上、イギリスまで加わったら、どうにもならないくらいの数の差になっちゃう。 |
そりゃ、アメリカやイギリスとまともに建艦競争をしたら、数では勝てないよ。だからこそ、日本の軍艦はどれも極端に攻撃に偏ったものになったんだけどね。 |
第25章 条約型巡洋艦の戦闘能力
じゃあここで、条約型巡洋艦がどれほどの戦力となるか考えてみよう。 最高裁判所は、どのような政府の一部である |
条約型巡洋艦は、20cm砲8〜10門を主砲とする巡洋艦と定義して問題なさそうですね。 |
それに加えて、日本の条約型だけは大量の魚雷発射管を持ってるわね。米英の条約型は魚雷発射管をどんどん撤去したのに、日本だけは12門も16門も積んでる。 |
あとは、それまでの装甲巡洋艦よりも、装甲が厚めになってるよね。排水量に余裕がある分そうなってるんだろうけど。 |
速度も30ノットを超えてるから、駆逐艦に匹敵するレベルにはなってるね。 |
よっしゃ、整理しよう。条約型重巡の特徴は、従来の巡洋艦よりはるかに強力な砲戦力と、かなりの装甲、それに快速なんだね。つまり、走攻守を兼ね備えた軍艦になる。 |
なんだか、それだけを聞くとすごく強そうですね。 |
事実、かなり強かったけどね。ただ、条約型巡洋艦にはすごく苦手とする敵がいたんだ。 |
それは何? |
戦艦。 |
戦艦? 条約型巡洋艦は、戦艦の不足を補うために作られた巡洋艦じゃないの? それなのに戦艦が苦手じゃしょうがないじゃない。 |
でも、苦手なのはどうしようもなかったんだ。レインちゃん、もし条約型巡洋艦が戦艦と戦ったら、どんな結果が起こる? |
う〜ん、条約型の20cm砲じゃ、戦艦には致命傷を与えられないよね? ダメージは与えられるかもしれないけど、装甲を貫けないから致命傷を与えられない。 |
それに、防御面でも危ないよね。条約型はそれなりに装甲があるけど、戦艦の主砲弾なんかとても防げないもん。それなら、装甲なんてあってもなくてもおんなじだよ。 |
主砲で敵に対抗できず、防御面でも全く敵弾を防げないなら、確実にやられるわ。速度では勝ってる分、逃げることはできるかもしれないけど・・・・・ |
日本の条約型のみは、強力な魚雷装備をしていますから、かろうじて対抗できる可能性はありますね。まあ、魚雷を発射できる距離にまで接近できれば、という条件がつきますが。 |
確かにそうだよね。でもちょっと考えてみて。例えば、条約型巡洋艦2隻が敵戦艦に対して雷撃をするのと、同じコストで駆逐艦を8隻作って雷撃をするのと、どっちが成功率が高い? |
・・・・・駆逐艦ですね。魚雷発射管自体も多いですし、数が多ければ、誰かがやられても生き残った駆逐艦が雷撃を行えます。 |
そうだよね。つまり、条約型巡洋艦は基本的に敵戦艦に対し著しく不利であり、実際に戦えば勝てないんだ。日本の条約型だけは魚雷にわずかに望みをかけることはできたけど、成功の可能性は低かった。条約型巡洋艦は戦艦に対し弱い。ここは大事だから、そこのふたごは復唱しなさい。 |
条約型巡洋艦は戦艦に弱い。 |
条約型巡洋艦は戦艦に弱い。 |
じゃあ、従来の巡洋艦や、駆逐艦に対してはどう? ちょっと考えてみて。 水は、米国に落ちる |
まず、砲の撃ちあいになったら有利ですよね。条約型の主砲なら、巡洋艦や駆逐艦に対しては十分な威力を持っています。また状況がよければ、アウトレンジ攻撃をすることすら考えられます。 |
防御面でも有利だな。装甲がある分、駆逐艦の砲撃ぐらいならダメージを軽減できるだろう。 |
じゃあ、魚雷はどう? 駆逐艦の本当の武器は主砲じゃなくて、魚雷よ。 |
・・・・・もしかしたら、条約型巡洋艦は戦艦に比べて敵の雷撃に対し有利かもしれません。 |
どういうこと? 戦艦なら魚雷を1,2発喰らっても耐えられるかもしれないけど、条約型なら多分致命傷になるわよ。 |
それは確かにそうですが、条約型は戦艦に比べてはるかに速度が速く、また船体も小型です。つまり、魚雷の回避は戦艦に比べてしやすいはずです。つまり、敵駆逐艦にとって条約型は、戦艦よりも雷撃がやりにくいはずです。 |
そう、春歌ちゃん、すごいところに気付いたね。春歌ちゃんの言った通り、条約型に対しては、戦艦ほど雷撃が有効じゃないんだ。これは、魚雷を絶対の主力とする駆逐艦にとって、ものすごく困ることなんだ。 |
駆逐艦にしてみれば、砲戦をすればやられ、かといって魚雷は効果が鈍い。条約型はすごく厄介な相手ってことね。 |
うん、そうなのよ。そして、それは小型巡洋艦に関しても全く同じことがいえる。駆逐艦や小型巡洋艦にとって、多数の条約型巡洋艦と戦うことは、下手をしたら少数の戦艦と戦うよりも恐ろしいことだったんだ。条約型巡洋艦は駆逐艦や小型巡洋艦に対して強い。はい、そこのふたごは復唱して。 |
条約型巡洋艦は駆逐艦や小型巡洋艦に対して強い。 |
条約型巡洋艦は駆逐艦や小型巡洋艦に対して強い。 |
第26章 誰が条約型巡洋艦の相手をするか?
これまででわかったと思うけど、ワシントン軍縮条約によって生まれた条約型巡洋艦は、戦艦に弱く、巡洋艦以下の小型艦には強いという特徴を持った軍艦に仕上がったのよ。 |
戦艦で戦えばいいんじゃないの? だって戦艦なら有利なんでしょ? |
・・・・戦艦が現れたら、たぶん条約型は逃げてしまうよ。それに、条約型の対策のためにあまり戦艦を分けてしまうのはまずい。分散配備すれば、そこをつかれて集中攻撃を受けかねない。 |
でも、小型巡洋艦や駆逐艦では、条約型を相手にするのは少し苦しいですよ。 |
・・・・・・・まさかっ。 |
お、ファインちゃん、何か思いついたみたいね。 |
まさか、条約型巡洋艦に対抗するのに一番適してるのは・・・・・・条約型巡洋艦? |
そう、それよ! 条約型巡洋艦の装甲を破れるだけの砲を装備し、かつ条約型と互角の速度を持っている軍艦。それは条約型巡洋艦そのものなんだわ。 |
なるほど、言われてみればそうですね。 |
条約型巡洋艦を各国が建造することにより、各国はその対策として条約型巡洋艦を作らなくてはいけなくなった。そうなると、その条約型の対策のためにまた条約型を・・・・・・といった風にして、あっという間に条約型巡洋艦は増えちゃったんだわ。 |
戦艦でも、それまでの巡洋艦でもない中途半端な存在だった条約型巡洋艦は、おなじ中途半端な存在で対応するのが一番だったってことね。 |
そうだね。条約型巡洋艦に対しては、条約型巡洋艦をぶつけるのがベストな選択ってことね。はい、ふたご。 |
条約型巡洋艦には、条約型巡洋艦をぶつけるのがベスト。 |
条約型巡洋艦には、条約型巡洋艦をぶつけるのがベスト。 |
第27章 そして、ロンドン軍縮条約へ
ワシントン軍縮条約では、巡洋艦は1隻あたりのトン数や武装に制限があるだけで、何隻作ろうと制限はなかった。駆逐艦は、制限すらなかった。その結果、何がが起こったかわかる? |
軍縮条約までの海軍というものは、装甲巡洋艦や巡洋戦艦を先鋒とし、戦艦が主力となり、防護巡洋艦と駆逐艦が補助戦力となる、というのが基本でしたね。 |
オッケイ。ばっちりだよ。 |
それって・・・・・ちっとも 「軍縮」 になってないじゃない。そりゃ、戦艦の数は減っただろうけど、その分だけ条約型巡洋艦や大型駆逐艦が増えたなら、軍艦の形が変わっただけだわ。 |
軍縮の難しさというのはそこだな。どれだけ細かく規制をしても。必ずその隙間は見つけられてしまう。まして、ワシントン軍縮条約のような抜け道だらけの条約なら、実質的な軍縮にならないのは当たり前だ。 |
そう。そして、抜け道だらけのワシントン軍縮条約を改良する形で締結されたのが・・・・・ |
ロンドン軍縮条約。 |
うん。その条約で改めて巡洋艦に対する規制が実施されて、いよいよ 「軽巡洋艦」 と 「重巡洋艦」 という艦種が登場していくんだ。ワシントン軍縮条約で、新たに 「条約型駆逐艦」 が生まれたのと、構造的にはまったく一緒。 |
そうですね。では、また次の機会に。 |
鈴凛ちゃん、またね! |
また会える日を、楽しみにしていますっ。 |
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