演奏シーンなしのフジロックDVD? 誰が買う?けど、俺は欲しい!(再追記あり) | Fujirockers.org
デル·ガルテンのつぶやきは何を意味するのでしょうか?
フジロックには、どこかでわけのわからん「外国人」がよく目にはいる。そのひとりが、いつもとんがり帽子を売っているジョン・ヘルマットというイギリス人で、帽子を売っていたかと思うと、いつの間にかビデオ・カメラを持っていろいろなところに出没。誰からとなくインタヴューを繰り返している。
スカ・クバーノのプロジェクトを手がけたプロデューサーだという噂は耳にしていたんだが、以前から、「彼の本当の仕事はなになんだ?」と思っていた。その彼が1999年から記録し続けたフジロックの映像を編集してDVDを作ったんだそうな。タイトルは"Tents & Bugs & Rock n Roll"(テントと虫とロックンロール)で、日本語で日高氏発案の「楽しい、楽しい、フジロック」という言葉が付けられている。権利問題もあってバンドの演奏は一切なし。そんなDVD、誰が買うねん? と思うかもしれない。ところが、これがめちゃくちゃ面白い。しかも、2枚組だというのに値段はたったの1500円と破格なのだ。とりあえずは、限定2000枚らしいけど、そんなの、すぐに売り切れるぞ! グリーン・オン・レッドや岩盤での限定販売らしいんだが、興味ある方は速効でチェックしてもらいたいと思うのです。なお、発売日の詳細は15日発表のようです。
貧困は何を意味する
さて、その内容なんだが、コンセプトを一頃でいえば「裏DVD」だな。一般にフェスティヴァルのDVDなんていったら、ミュージシャンの演奏が中心でオーディエンスはおまけ。ところが、こっちは演奏シーンはほぼゼロ。皆無です。ありません。だから、それを期待している人には絶対にお勧めしないし、買ってはいけません。でも、フジロックが大好きで、「なんか変な外国人にビデオで撮影されたなぁ」という記憶がある人には、自分が映っているかもしれないという意味で、トライする価値はある。なにせ、ここの主役となっているのはステージの裏側であり、フェスティヴァルの表側、お客さんなのだ。おそらく、きちんとカメラに向かって語りかけたり、ほほえみかけている人の数は… 数え切れないけど、何百人の単位では� ��いと思うのです。1000人、2000人? あるいはもっと? と思えるほどにいっぱい出てくる。だから、「あなたも」ここに出てくる可能性もいっぱいあるのです。
しかも、ここに登場してくるお客さんたちの表情の幸せなこと。見ているこっちまで幸せな気分になるのだ。こんなに幸せなときがあっていいの? とでも言わんばかりの、はち切れそうな笑顔の数々。っても、その雰囲気を見ると、かなり酔っぱらっていたり、舞い上がっていて、撮影されたのを覚えていない人も多いかもしれませんけど。いずれにせよ、おそらく、フジロックの魅力を凝縮しているのがこういった絵がの数々ではないかと思うのです。
新しい文化に同化する方法
それに、はっきり言って、スタッフだというメリットを生かし切って撮影されているのが映像の数々。ステージ裏から楽屋の中に潜り込んで、とんでもない映像をとりまくっているのだ。ほんの一部は、あるいは、同じような映像が違う角度から使われたものが、昨年発表された『FUJIROCKERS ~ THE HISTORY OF THE FUJIROCK FESTIVAL』でも目に入るんだが、はっきり言って、こっちの方が強力ですな。例えば、フジロックにとって、欠かすことができないミュージシャンでシンボル的な存在というと、どうしてもジョー・ストラマーと忌野清志郎の名前が思い浮かぶんだけど、いろんなところで彼らが顔を出しているし… 今後、彼らがジョン・ヘルマットの記録に出てこなくても、フジロックと共に彼らが一緒に生き続けているんだということがよくわかるですよ。しみったれたことは書きたくないけど、彼らの映像をここで見ると「俺たち、一緒にいたいんだ」ということが思い出されるし、これからも一緒なんだということが確認できるようにも思えるのです。
それにステージに上がる前のミュージシャンの表情から、会場内をうろついている彼らとのインタヴューとか… そこまできっちりしたものじゃなくて、コメントのようなものも数多いけど、逆にそれがすごく自然。っていうか、たいていのフェスティヴァルではでっかい豪勢なバスで会場に乗り付けて、ライヴの時に車から出てきて、演奏したら、そのまま会場をあとにするというのが常識なのに、フジロックではミュージシャンたちが会場をぶらついて遊んでいるというのが、このDVDを見ているとよくわかる。
そんなこんなに加えて、大幅にフィーチャーされているのが「ステージから飛び出た」エンタテインメントの記録の数々。ここにはそれがてんこ盛りで記録されているのが嬉しいのですよ。おそらく、毎年、フジロックが終わって、いろいろな雑誌の「夏フェス特集」をチェックする人も多いと思うんですが、結局、「音楽」ばかりが中心で、「祭り」の記録がきちんと掲載されているのが少ないというか… ほとんどないのです。でも、そんな不満を抱えているあなた、これよ、これですよ。これぞフジロックだという「フェスティヴァルを作っている人たちのDVD」がここに凝縮されていると言っても過言ではありません。
ということで、収録されているのは254分とヴォリュームいっぱい。おそらく、誰もこのDVDを一度で見てしまおうなんて思わないと想像されますが、どんどん引きつけられるというのも事実。まぁ、のんびりと、少しずつでも見ながら、苗場のフジロックの歴史に思いを寄せるのも良し。もし、今年のフジロック前に手に入れられるようなことがあれば、これを見ながら、今年はどうしようかと考えるのもいいだろう。いずれにせよ、これこそがfujirockersのDVDだということに関しては太鼓判を押せますよ。本当はねぇ、フジロック・エキスプレスで同じ歴史を記録し続けているfujirockers.orgはこういった祭りの全てを満載した、年に一度しか発行されない完全記録版雑誌を作らないといけないし、そうしようとと動いているんですが、� ��かなかうまくいかない。今年は某大手出版社に交渉したんですが、玉砕でした。でも、くじけませんぞ。来年に向けて、また、がんばるのです。
(なお、この原稿発表後に入った情報によると、このDVDは会場内での岩盤ブースのみでの発売だとのこと。岩盤によると前夜祭から販売しているとのことです。)
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